れゆえに理性的に弱者の過ちを責めようとしますが、弱者の立場からいえば、それは何の意味も持たないことが多いのです。弱者のする謝罪とは、劣勢を一時的に解消する手続きや儀式にすぎないのです。 (吉田脩二『ヒトとサルのあいだ--精神はいつ生まれたのか』による) 47 筆者は、弱者をどのようにとらえているか。
1 弱者は正直であることで自らの尊厳を守ろうとする。 2 弱者は理性を持って自らの過ちをわびようとする。 3 弱者は正論に頼って劣勢を解消しようとする。 4 弱者は謝罪することで自らを守ろうとする。 (3)
以下は、ある会社がホームページに掲載したお知らせである。 こころ
東本タイヤ株式会社 2011年6月15日 タイヤ価格改定のお知らせ 当社は原材料価格の高騰を受け、トラック?バス等の特殊車両用タイヤの値上げを、本年3月(夏用タイヤ)、および4月(冬用タイヤ)実施致しました。 しかし、原材料のさらなる価格高騰が続き、現在の出荷価格の維持が不可能であると判断し、本年9月1日より、一般車両用タイヤを含むすべてのタイヤの出荷価格を改定することと致しました。何卒ご理解頂きますようお願い申し上げます。 以上 48 タイヤの出荷価格について、この文章は何を知らせているか。
1 すべてのタイヤの価格改定を3月、4月に続き、9月にも行う。 2 夏用タイヤ、冬用タイヤの両方の価格を、さらに2回改定する。
3 春に改定しなかった一般車両用のタイヤ価格等も含め、9月に改定を行う。 4 特殊車両用のタイヤに続き、9月からそれ以外のタイヤの価格も改定する。 (4)
思春期を迎えた最近の子どもがストレスに弱いのは、それまでの発達過程で適度にストレスにさらされる経験を十分にへてこなかったことが深く関係している。しかもそれは、彼らが社会化を十分に遂げてこなかったことと等しい。というのも、10代前半までの子どもは、それまでの生活圏を出てより広い社会的文脈のなかでいかにして自己を実現させるかという課題に取り組むなかで、もっとも強くストレスを味わうからにほかならない。
(正高信男『父親力』による)
49 筆者は、思春期を迎える前の子どもにとってどんな経験が必要だと考えているか。
1 家庭の外の社会で多くの社会問題に取り組む経験 2 日々の生活の場で自分自身と向き合うような経験 3 広い社会の中で自分を鍛えることができるような経験 4 日常生活の中で個人の発達段階に応じた役割を担う経験
問題9 次の(1)から(3)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1?2?3?4
から一つ選びなさい。
(1)
なにとぞ以前、花見をしている時に「桜の花は本当にきれいな正五角形(注1)だね」と言ったら、風情のない人だと笑われたことがあった。確かに、桜の花びらには微妙な色合いや形、そして香りに加えて、散りゆく美しさがある。花を愛でる和歌や俳句は数限りないが、そのなかに「正五角形」という言葉が使われたことはおそらく一度もないであろう。科学者特有の美意識は、風流とはかなり異質なものなのだと悟った。 科学において本質以外を切り捨てるためには、大胆な抽象化と理想化が必要である。桜の花びらのたくさんの特徴の中から、「正五角形」という形だけを取り出すこと。これが抽象化である。実際に数学的な意味で完全な正五角形を示す花びらは少ないだろうが、そこにはあまりこだわらない。これが理想化である。 自然界で正五角形のような対称性を示すためには、必ず規則的な法則があるはずである。花の場合、品種によって花弁(注2)の回転対称性が遺伝子で決定されていることは間違いないから、うまくこの遺伝子を突きとめられれば、花の形を決める普遍的な法則が見つかるに違いない。このように、抽象化と理想化によって自然現象は単純に整理でき、普遍的な法則を見つける助けになる。
(酒井邦嘉『科学者という仕事』による)
(注