第8課
本文Ⅰ料理技能の検定
資格試験にもいろいろあるが、家庭料理の技能にも検定の制度があると聞いて驚いて、新聞を広げた。「料理の英検」という見出しで大きく出ているのを読むと、若い世代の台所技術がどんどん低下するのに危機感を持ったことから料理関係者が始めたもので、文部省の認定を受け、すでに10年になるのだそうだ。初歩的な知識·技能があるのが4級、日常の献立·調理ができるのが3級、高度の知識·技能があるのが2級、指導者レベルが1級という段階に分かれているというのを読むと、なるほどと、思う。
実技の試験ではリンゴを1個丸ごと皮をむく問題が毎年のように出る。制限時間は2分。おもしろいことに、これは初めは4級の問題だったが、今の人にはむずかしいからと、後で3級にあげられたそうだ。オムレツを作るのも3級。筆記試験もあって、たとえば夕食の献立を見て、それに追加する料理を食品のバランスを考えて選ぶ問題などがあるそうだ。さすがに専門家の考えた問題だと感心した。
この検定試験を作った目的は、家庭料理に関心を持ってもらうことだそうであるが、たしかに料理を専門にする人たげでなく、一般の人が毎日の食事に関心を持つのは大切なことで、こうした検定が生まれるのはよいことだと思う。受験者が2000人を超えたのもけっこうなことだ。ただ気になるのは、男性の受験者も増えている
とはいいながらまだ1割にもなっていないことだ。これからの高齢化会社では、男性も身のまわりのことを処理する能力がないとみじめな生活をしいられる。若いうちは食生活が不完全でもさほどの影響はないが、老年になるとそうはいかない。家庭料理の基本的能力を最も必要とするのは、老年の男性である。「六十の手習い」でなくて「六十の手料理」ということになる。これからは定年退職をするときには、まず料理検定の4級を、というようになるといいと思う。
会話
会話文Ⅰ
(知人の会話。Aは男性、Bは女性。)
A:料理の技能の検定というのがあるそうですね。 B:え、そうですか。このごろ始まったんですか。 A:いいえ、もう10年も前からやっているんだそうです。 B: そうですか。いろいろな検定があるものですね。 A:ほんとうですね。
B:よく英語のというのは聞きますけど、料理って実技ですか。 A: 実技と筆記と両方あるんだそうです。 B:へえ?実技はたまごをやくとか。
A:そうそう、オムレツを作るっていうのがあるそうですよ。 B:わたしなんか、オムレツがきれいにできないから、だめですね。 A:それからリンゴの皮をむく。
B:ああ、4つ割って。
A:いいえ、1こまるごとむくんだそうです。
B:あれ、むずかしいんですよね。途中で皮が切れてしまって。 A: 切れてはいけないし、うすくむかないといけないんだそうです。 B:じゃ、わたしなんか落第ですね。
A: オムレツとリンゴの皮むきは3級だそうです。でも4級ならのぞみがあるんじゃないかなと思うんです。
B:あ、4級ならわたしも受かるだろうってことですか。
A:いえ、ぼくがです。ぼく、こんど4級を受けてみようと思っているんです。 会話文Ⅱ
(学生二人の会話。Aは女子学生、Bは男子学生。) A: 料理技能の検定のことが新聞に出てるわ。 B:その検定もやってぱり級があるの。
A:そう。初歩的な知識·技能が4級、日常の献立·調理ができるのが3級。 B:ふうん。
A: 高度の知識·技能があるのが2級、指導者レベルが1級だって。 B:ぼくは4級もあぶないな。 A:問題も出てるの。
B:うん、筆記試験の例えもある。これ、4級だけど、おもしろいよ。 A:読んで。